当院で実施中の臨床研究について
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研究内容の紹介
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外傷急性期凝固線溶動態に関する多施設共同後向き研究

研究課題名:「外傷急性期凝固線溶動態に関する多施設共同後向き研究」
研究責任者:小倉裕司 大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター・准教授

①対象:日本外傷学会将来計画委員会委員19施設に2012年1~12月に入院した症例で、年齢18歳以上、ISS≧16の外傷症例(穿通性・鈍的外傷いずれも含む)を対象とする。他院よりの紹介によるもの、妊娠中のもの、肝硬変を有するもの、来院前あるいは来院時心停止例、高エネルギー外力(JATECガイドライン第4版に準拠する)によらない脊髄損傷のみによりISS≧16となるもの、熱傷症例、については除外する。

②研究機関名:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター、国立国際医療研究センター救命救急センター、関西医科大学附属滝井病院救命救急センター、近畿大学医学部附属病院救命救急センター、岐阜大学大学院高次救命救急センター、国立病院機構災害医療センター救命救急科、東京医科大学病院救命救急センター、東京女子医科大学救命救急センター、大阪府泉州救命救急センター、福岡大学病院救命救急センター、慶応義塾大学病院救急科、北海道大学病院救急科、横浜市立大学病院市民総合医療センター高度救命救急センター、東京医科歯科大学附属病院救命救急センター、日本医科大学付属病院高度救命救急センター、聖マリア病院救命救急センター、久留米大学病院高度救命救急センター、大阪市立大学医学部附属病院救命救急センター、東北大学病院高度救命救急センター

③目的:①蘇生による影響を伴わない外傷そのものによる凝固異常の病態を明らかにすること、②上記凝固異常を呈する症例の臨床的特徴を明らかにすること(輸血必要量、止血のための介入、転帰、合併症など)、③急性期における凝固線溶動態の変化を明らかにすること。

④方法:上記対象患者の臨床データについて、カルテレビューによる後方視的調査を行う。調査項目は以下の通りである。①外傷基礎データ(年齢、性別、ISS、部位別AIS、RTS、Ps、頭部外傷の有無、受傷から初回採血までの時間、ドクターカー/ドクターヘリによる搬入症例における病院前輸液の有無、抗凝固療法および抗血小板療法施行の有無、その他の凝固・線溶系に影響を与えうる薬剤歴の有無、受傷後24時間以内の手術・IVR、受傷後3時間以内のトラネキサム酸投与、受傷後24時間以内の活性化第VII因子製剤使用、受傷後24時間以内のフィブリノゲン製剤使用)②来院時および受傷12~36時間後の凝固止血系評価(血小板数、PT-INR、PT、APTT、フィブリノゲン、FDP、D-dimer、血清乳酸値、CK、AST、ALT、LDH、WBC、RBC、Hb、Hct、PaCO2、JAAM DIC score、ISTH overt DIC scoreなど)③転帰および入院中に発生した合併症

⑤意義(医学的意義):出血は外傷による48時間以内の死亡原因の40%を占める。大量輸血例の死亡率は50%を超え、ショックの遷延は急性期以降の敗血症・多臓器不全による死亡に大きな影響を与えうる。このような外傷では、主要な出血源を外科的に制御できても、coagulopathyを含む生理学的破綻のために救命しえないことが多く、凝固異常病態の把握と出血の制御は重要なテーマとなる。そのため、病態把握と治療的アプローチに基づく、新たなDCRの確立は重要な臨床課題であると考える。このような明確な理論的背景とした治療戦略の確立は我が国から発信しなければ、なし得ることのできない臨床課題であると考える。

⑥個人情報の取り扱い:「連結可能匿名化」を行い、個人情報を保護する。

⑦問い合わせ先:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 小倉裕司

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