高度救命救急センターにおける鎮静スケールRASS導入の効果
研究課題名:「高度救命救急センターにおける鎮静スケールRASS導入の効果」
研究責任者:中谷安寿・大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター・看護師
RASSとは、鎮静剤を使用している患者の鎮静状況を10段階で評価するスケールです。
①対象:2009年12月~2011年5月までに当センターに入院中で、頭蓋内病変がなく、鎮静下に人工呼吸器管理を行なっている全患者を対象とします。(症例数)RASS導入前後約50例ずつを予定しています。(除外方法)・既往歴より、過去に頭蓋内病変があったと考えられる患者および入院中に突然頭蓋内病変が発症した患者は、対象外とします。・盲目患者または、浮腫などにより開眼が不可の患者はRASSの評価が出来ないため対象外とします。
②研究機関名:大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター
③目的:当センターにおいて、RASS導入の効果を明らかにすることを本研究の目的とします。
④方法:過去のカルテよりRASS対象患者のデータを抽出します。RASSを用いた鎮静状況の評価の方法として、当センター看護スタッフへのRASSの導入前後で評価者を2パターンに分類しました。看護スタッフへの導入前の鎮静度評価は、研究責任者並びに研究分担者2名にて、導入後は受け持ち看護師と同勤務の看護師2名で鎮静度評価を行いました。2名でのRASS評価が異なった場合のdateは不採用としました。収集されたdateと以下の調査項目を検証しました。(調査項目)①年齢、性別、疾患名②調査時間帯、入院期間、ICU滞在日数、人工呼吸器装着日数、合併症の有無、予後③RASS、GCS評価④鎮静薬の種類・量の有無⑤インシデント(気管チューブ・末梢ルート・NGチューブの自己抜去)発生の有無、その内容、発生率⑥抑制実施の有無、抑制帯の種類
⑤意義(医学的意義):急性期重症集中ケア中のインシデントは、患者の生命に直結する可能性があり、それらの医療事故発生件数の低下など、集中治療全体の質の向上に繋がると考えます。(社会的意義)当センターは患者の受け入れ態勢を常に確保しておかなければならない社会的使命を負っています。より安全で効果的な鎮静評価を行い、入院患者のICU滞在日数を減少させることは、当センターが担う社会的使命を遂行する上で、大きな因子となりえます。また、ICU滞在日数の減少は、患者の入院費用の軽減にも寄与すると考えています。
⑥個人情報の扱い:「連結可能匿名化」を行い、個人情報は研究責任者が保護します。研究対象者のデータや検体から氏名等の個人情報を削り、代わりに新しく符号又は番号をつけて匿名化を行います。研究対象者とこの符号(番号)を結びつける対応表は外部に漏れないように厳重に保管します。(対応表の管理方法)ネットワークから切り離されたコンピューターを使用して、外部記憶媒体(USBなど)に記録し、それは鍵をかけて厳重に保管します。