救命救急センター搬送症例におけるHAE(遺伝性血管性浮腫)疫学調査
遺伝性血管性浮腫(HAE:hereditary angioedema)はC1-inhibitorの量的・機能的低下により血管透過性が亢進し全身浮腫をきたす疾患です。HAEの7~8割が常染色体優性遺伝ですが、最近では孤独例も数多く報告されています。HAEの浮腫は、時に気道や腸管粘膜に出現し、気道閉塞や急性腹症の原因となります。HAEの日本における認知度は低く、特効薬であるヒトC1阻害剤を常備する医療機関も少ない現状があります。日本では実際の患者数を調べた疫学的調査はまだ存在しません。我々は大阪府下救命救急センターに原因不明の浮腫、上気道閉塞による気道緊急、アナフィラキシーショック、腸管浮腫を伴う急性腹症、喘息発作で搬送された患者にHAE患者が存在するかどうかを前向きに調査研究しています。