SIRS患者におけるマイクロパーティクルの動態解析
当センターでは阪大臨床検査部との共同研究により、数多くのフローサイトメトリー解析を用いた研究を行っています。その代表的なものとして、マイクロパーティクルがあります。血球や血管内皮がさまざまな生体侵襲により活性化状態となると、微小な膜小胞体(マイクロパーティクル)が細胞から遊離します。
我々は、SIRS(全身性炎症反応症候群)患者において好中球、血小板、血管内皮由来マイクロパーティクルの産生がいずれも亢進し、各細胞間の伝達物質として重要な役割を担う可能性を示してきました。(J Trauma, 2001, 50: 801-809. / J Trauma, 2002, 52: 443-448. / J Trauma, 2003, 54: 114-120. / J Trauma, 2004, 56: 823-831.)種々の炎症反応におけるマイクロパーティクルの関与がin vitro 研究の結果をもとに検討されていますが、未だ、臨床患者における検討は限られており、重症病態患者における意義も定まっていません。そのため、当センターでは引き続きSIRS患者におけるマイクロパーティクルの動態解析のための前向き臨床研究(炎症・凝固反応との関連性、臨床マーカーとしての意義の検討)を進行中です。