分子疫学検査(POT法)を用いたMRSA院内感染の解明と制御
研究課題名:「分子疫学検査(POT法)を用いたMRSA院内感染の解明と制御」
①目的と対象:当救命センターでは感染対策として、手指消毒、手袋やガウンの着用を徹底することでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出数を減少させてきた背景があります。一方で、市中型(持ち込み)MRSAが多く検出される本邦において、検出されたMRSAが「院内感染」なのか「市中型(持ち込み)」なのかを鑑別することが難しい現状があります。近年開発されたPCR-based ORF Typing(POT)法という菌株の遺伝子型を同定できる分子疫学検査法を用いることで、検出されたMRSAが院内伝播か持ち込みかを把握することが可能となり、また院内伝播経路も明らかにできる可能性があります。そこで日常診療で検出されたMRSAにPOT法を加えるといった院内感染の観察研究を行う予定としております。本研究は、以下の3点に重点を置いて行っております。①医療従事者が関与するMRSA院内感染の現状を明らかにすること、②院内感染が、治療経過、予後、医療経済に与える影響を明らかにすること、③分子疫学検査の効果を明らかにすることで新しい院内感染対策を構築することです。
対象は、救命救急センター・集中治療部に入院される全患者と救命病棟スタッフです。研究期間は2015年10月1日から2017年3月31日です。
②研究の開示:研究成果は、研究対象者を特定できないようにした上で、学会や学術雑誌等で公表します。
③個人情報の扱い:「連結可能匿名化」で、個人情報を保護します。
④研究機関名:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター、集中治療部、感染制御部
⑤研究責任者:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 高橋弘毅(医員)
⑥相談窓口:
大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター 廣瀬智也(特任助教)
大阪大学医学部附属病院 感染制御部 萩谷英大(助教)
大阪大学医学部附属病院 集中治療部 滝本浩平(助教)
⑦研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法:本研究は、介入を必要としない観察研究であるため、症例登録のいかんにかかわらず、治療法に影響は全く及ぼしません。また、診断・治療に必要な検査等のために採取される試料のうち、残余(医療廃棄物として処分されるもの)を使用しますので研究対象者に生じる負担やリスクはありません。症例登録をすること自体の参加の拒否については、主治医への口頭での意思表示、もしくは、電話での意思表示でお伝えいただくことができます。