敗血症・重症外傷患者における血管透過性亢進とC1-inhibitorの関係の解明
研究課題名「敗血症・重症外傷患者における血管透過性亢進とC1-inhibitorの関係の解明」
研究責任者:廣瀬 智也 大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 特任助教
①対象:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターに入院した敗血症患者・ショック状態となった重症外傷患者を対象とする。調査対象期間は倫理委員会承認後から2016年3月31日までとする。なお、包括同意検体がある患者については後ろ向きに承認前の保存検体を用いて解析する。
②研究機関名:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター、神戸常盤大学保健科学部医療検査学科
③目的:経時的に敗血症患者・重症外傷患者の臨床データ・検体を収集し、C1INH及び補体系と血管透過性との関係を解析する
④方法:研究に同意をいただいた患者さんに対して、診療上必要と判断された生体試料(血液)の残余を用います。経時的に血液中のC1INH活性値、C1INH定量値、C3、C4、CH50等の測定を行う。C1INH定量値に関しては神戸常盤大学で行う。また、臨床データを同時に評価する。
⑤意義:敗血症や重症外傷の患者は、生体に侵襲が加わることにより微小血管の透過性が亢進し、血漿成分が間質へ漏出し、時に大量輸液を必要とする。今回注目するC1-inhibitor(以下、C1INH)とは、セリンプロテアーゼインヒビターであり、補体系、カリクレイン・キニン系、線溶・凝固系の多くの部分を抑制的に制御する。血管透過性亢進に関する補体系(C3a,C5a)に対しては、抑制的に働く。近年C1INHの量的欠損あるいは機能的な減弱による全身の浮腫を生じる病態として遺伝性血管性浮腫(hereditary angioneurotic edema; HAE)が臨床上注目されている。HAEは血管透過性の亢進により若年期より身体各所に生ずる浮腫を起こす常染色体優性疾患で、その治療としてヒトC1インアクチベータ―製剤が投与されると劇的に浮腫を改善させる。しかし、重症外傷・敗血症患者における血管透過性亢進とC1INH及び補体系の関係はいまだ明らかではない。そこで我々は経時的に外傷患者・敗血症患者の臨床データ・検体を収集し、C1INH及び補体系と血管透過性との関係を解析する。
⑥個人情報の扱い:「連結可能匿名化」を行い、個人情報を保護する
⑦問い合わせ先:大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター 廣瀬 智也
⑧研究対象者に研究への参加を拒否する権利を与える方法: この研究への参加は患者さん自身の自由な意思で決めて頂くことになります。患者さんが意識障害などで意思を表明できないときは、家族などの代理者にお願いを頂きます。この場合は、患者さんとの意思疎通が図れる状態になった時に、改めて患者さんに研究参加への意思を確認させてい頂きます。たとえお断りになっても今後の治療において不利益を受けることはありません。また、一度ご同意いただいた場合でも、後になって撤回することは可能です。同意の撤回を希望される場合は、遠慮なく担当医師にお伝えください。