スマートフォンアプリを用いた新たな救急医療サービス提供システムの研究開発
急な病気やケガに見舞われると人々は対応に苦慮し、とっさに救急車を要請することがあります。それは、ともすれば不要不急な救急車要請につながりかねません。そこで国及び一部の地方自治体では、急な病気やケガで救急車を呼ぶか迷った時などの相談窓口として電話による緊急相談サービスを実施しています。
その一方で、2015年度末のスマートフォンの契約件数は約7,030万件と国民の半数以上にスマートフォンが普及している現状を踏まえ、医学的なアルゴリズムに基づいて症状の緊急度を判断し、判断結果に応じて救急車の要請や近隣の診療可能な医療機関の情報提供できるスマートフォンアプリによって、国民一人一人がアプリを用いて病状の緊急度を判断したうえで救急車を要請する「21世紀型の新しい119番通報(救急車要請)システム」を確立することを目的としたスマートフォンアプリケーションを大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学教室、大阪市消防局とともに研究開発しています。
本研究を通して2015年9月に15歳以下の小児患者を対象とした「小児救急支援アプリ」(サービス提供地域;大阪市内)をリリースし、2016年4月からはサービス提供地域を大阪府内全域に拡大するとともに、Google PlayやApp Storeから無料でダウンロードすることが可能になりました。本アプリケーションでは、具合が悪くなった子供の症状をチェックするとアプリケーション内に組み込まれた医学的アルゴリズムによって症状の緊急度を判定し、緊急度が高ければ「119番通報」を、緊急度が低ければ近くの診療可能な医療機関案内(医療機関は大阪府内の医療機関のみ表示)を行うものです(本アプリケーションシステムについては現在特許申請中)。これらの操作履歴などの情報はサーバ上に蓄積し、蓄積した情報を統計学的に解析し、医学的アルゴリズムの精度向上などの研究に使用しています。今後は、成人版アプリの開発を行うべく現在研究を進めているところです。