様々なキャリア

様々なキャリア

救急医が活躍するのは救命センターだけではありません。様々な経験を通して成長することができます。
ほんの一部ですが多様なキャリアを紹介します。

サブスペシャルティー

当教室では、救急専門医研修以外にも希望に応じて外科、脳神経外科、整形外科、IVR、熱傷など、様々な領域の修練(サブスペシャルティー研修)を積むことが出来ます。当教室では昔から、多くの医師が他科での研修を積み重ねており、希望に応じて様々なパターンでサブスペシャルティー研修を受けることが可能です。

インタビュー紹介

私の場合は、外科と脳神経外科の研修を希望し、それぞれ専門医を取得しました。今は大学で外傷症例の開頭や開腹術を中心に、スキルを活かした救急医生活を送っています。

自分のスペシャルティーを持ってチーム医療に貢献

私は2006年に京都府立医科大学を卒業し、京都第一赤十字病院で5年間の初期・後期研修を行いました。後期研修は救急部で外科や麻酔科のローテーション研修を受け、外傷のエキスパートを志して大阪大学救急医学教室に入局しました。大阪大学で、緊急の開腹・開胸手術はもちろん、緊急開頭術やIVR治療、整形外傷手術も救急医が主体となって行っていることを目の当たりにしました。重症外傷患者を救命するためには、外科だけでなく脳神経外科やIVRの知識・手技も必要であることを痛感し、脳神経外科やIVRの修練も積みたいと、このとき強く思ったのを覚えています。

当医局や大阪大学脳神経外科医局の協力もあり、医師10年目に脳神経外科の修練を開始し、脳神経外科専門医を取得して、今に至っています。

外傷診療はチーム医療です、すべての手技や周術期管理を一人の医者がブラックジャックのごとく行うわけではありません。救急医でカバーできない外傷治療については、大阪大学の他科の先生方に協力頂き、一丸となって外傷診療に向き合っています。その中で、自分のスペシャルティーを持ってチーム医療に貢献していくことは、非常に充実感があり、やりがいを感じています。

メッセージ

サブスペシャルティー研修は外傷診療関連に限りません。当教室では熱傷や内科系の診療科、集中治療やER型救急の研修を行う事も可能です。大阪大学救急医学教室で一緒に救急医のキャリアを磨いて行きませんか。

留学

インタビュー紹介

私は救命救急医として、救命センターで重症救急患者を中心とする診療に従事してきました。その後、大阪大学医学部附属病院・生体統御医学・救急医学講座の大学院博士課程に入学しました。大学院では、敗血症や外傷などの急性炎症性疾患における免疫応答の研究を行いました。いろいろな先生の指導をいただき、基礎研究と臨床研究を相互にフィードバックする橋渡し研究を行うことができました。その後、研究者としてさらなる研鑽を積みたいと思い、2016年9月から2019年9月まで3年間にわたりアムステルダム大学附属病院の分子生物学教室に研究留学をしました。

分子生物学教室の感染症グループでは、Tom van der Poll教授の指導の下、基礎と臨床研究を横断する橋渡し研究を重視していました。オランダの他、ヨーロッパを中心に様々な国から研究者が集まっており、多国籍で活気に満ちた研究室でした。アジア人研究者は少数派で、日本人は私1人でしたが、目標に向けて挑戦できる良い機会でした。研究室では、転写因子HIVEP1の役割を、ヒト単球実験、遺伝子編集(CRISPR-Cas9)、遺伝子導入実験、マウス肺炎モデル実験、MARSコホート(敗血症患者データバンク)等で評価しました。その結果、敗血症において転写因子HIVEP1がNF-κBの抑制因子として機能していることを明らかにしました。

留学経験を通して自分の世界観が広がったことを実感しています。様々な刺激を受ける環境での研究や多様な価値観を持つ人との付き合いは、何事にも代えがたい貴重な経験となりました。留学で得られるものは人によって異なると思いますが、少しでも興味があれば、ぜひ挑戦していただきたいと思います。

行政

インタビュー紹介

ウツタイン大阪プロジェクトに関わっていた際に、全国でウツタイン統計を行うながれとなり、研究会に総務省消防庁の救急専門官(厚生労働省の医系技官のポスト)と出会う機会がありました。その後、医局の先輩である梶野健太郎先生が厚生労働省へ出向し、いろいろとお話を伺う機会がありました。目の前の傷病者を治療することも重要とおもいつつ、制度に関わり、多くの方がハッピーになる体制構築に関わることも重要ではないかと考えるようになりました。そのような中、厚生労働省では、医政局指導課に救急・周産期医療等対策室があり、救急医療対策専門官という救急医療に関するポストがありましたが、新規に病院前医療対策専門官のポストを作る話があるとのことでお誘いいただき、中京病院で熱傷治療の修中でしたが、大阪大学からの出向という形で厚労行政にかかわらせていただきました。

担当させていただいた業務は救急救命士に関する事項、AEDの普及に関する事項、メディカルコントロール体制に関する事項でした。担当業務を遂行するに際して、多くの救急医療に関わる方々と意見交換をさせていただいたり、関係団体、関係機関と調整をさせていただき幾つかの取りまとめをさせていただきました。予算の獲得や、新しい科研の企画についても、現場で求められていることを少しでも改善できるようにどのような予算要求をすればよいのかなど考える機会をいただき、少しは現場の求める事を解決できるように予算等を確保できたかと思います。

国会対応など、きつい業務もありましたが、いろいろな場所から出向してきている他の専門官などとの昼食での意見交換をはじめ今となっては良い思い出で、当時に培った人脈などがその後の活動で役に立っていることは間違いありません。

救急の現場で働いていたときに、行政機関(厚生労働省)がもっと取組むことがあるのではないかと思っていましたが、問題意識を持ったものが人事交流で行政機関に入っていくことが重要と思いました。また、行政機関も動かないのではなく、一生懸命に業務を行っているけれども、現場の問題意識がわからないところが課題と思います。そのための人事交流と思います。

行政は縦割りという表現が良くされますが、自分たちが行っているお仕事が何に根拠づけられて、どのように必要とされているのかなど物事を整理して考えることができるようになると思います。このことは、目の前の傷病者の治療には効果を発揮しませんが、救命センターの組織の一委員として、地域の消防機関、保健所、府庁など行政機関とお仕事をする際には非常に役立ちます。

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