日本の救急医療体制は基本的に、初期(軽症:帰宅可能)、2次(重症:入院が必要)、3次(重篤:高度な医療が必要)救急のように重症度によって受け入れ・対応する医療機関を分担する仕組みです。北米でのER型救急システムとは、ドラマ「ER」で知られているように救急医がすべての種類の患者の初期治療を担当し、必要に応じて各専門医師へ引き継ぎ、入院や手術等の治療は各科に委ねる、という体制で診療が行われる点で、日本の基本的なシステムとは異なります。
日米のシステムには、異なる利点があり、それぞれの歴史を反映しています。日本の救急医療は、重症外傷患者への対応の必要性から発展しましたが、今日では構成人口の高齢化に伴う救急患者の増加が大きな課題です。今後は米国型ERの良さをとりいれた、「日本型のER」を構築することが必要と考えられます。
そこで、これからのER指導者の養成のため、米国の第一線で活躍中の救急医を招いての臨床の指導およびセミナーを2014年10月から、大阪警察病院、多根総合病院、大阪府立急性期・総合医療センターと共に行っています。
COVID-19のパンデミックにより現在は日米救急Webカンファレンスとして世界中のどこからでも参加できるカンファレンス方式として継続しています。