大阪府ドクターヘリ

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大阪府ドクターヘリとは
 大阪府ドクターヘリは、2008年1月より大阪大学医学部附属病院を基地病院として運航を開始しました。大阪府のような府下全域の都市化がすすんだ地域でのドクターヘリの本格的な運用は我が国では始めてであり、多くの救急医療関係者の注目を集めています。このドクターヘリ事業は、大阪府が事業主体ですが、その医療スタッフには、高度救命救急センターの専従スタッフである医師と看護師が従事しています。
 ドクターヘリの最大のメリットは、重症傷病者のもとに医師と看護師を派遣し、より早期に救急現場から治療を開始することにあります。原因が外因性であっても内因性であっても、重症傷病者に対する早期のAdvanced Life Support (ALS)が、その傷病者の生命予後を改善させることが明らかになっており、我が国においても、救急救命士制度により心肺停止患者に対するALSが施行されています。しかし、救急救命士による病院前のALSは、心肺停止状態の傷病者に対してのみ許されており、心肺停止に至っていない、すなわち、最も早期に治療が必要である瀕死の傷病者に対しては、医師以外がALSを行なうことは許されていません。ここに救命救急を専門とする医師を中心とした医療チームが救急現場から医療行為を開始することの最大のメリットがあります。その医療チームの移動の手段がドクターヘリとなります。ドクターへリは、時速200kmを超える速度で交通事情に左右されることなく医療チームを重症傷病者のもとへ派遣することができるのです。さらに、重症傷病者に対して救急現場での迅速、かつ適切な診断と治療を行ないながら医療機関へヘリコプターによる迅速な搬送を行なうことも可能となります。



大阪府ドクターヘリの目的
 大阪府ドクターヘリの目的は、①重症傷病者に対する救急現場活動、②より高度な医療を目的とした医療機関間の重症患者の搬送、③複数傷病者発生事故や災害時の活用の3点です。

●重症傷病者に対する救急現場活動
 大阪府は、日本で2番目に狭い面積に886万人という日本で第3位の人口を有しており、 年間45万件以上の救急要請が行われ、収容先の医療機関も14箇所の救命救急センターを中心に多くの二次病院が存在しています。しかし、このような大阪府においてもドクターヘリの需要が決して少なくないことを私たちは明らかにしました(中川ら、日本航空医療学会雑誌2008年)。そして、ドクターヘリの運航開始後も、ドクターヘリだからこそ救命できたと考えられる症例を経験しています。重症傷病者に対して"最後の砦"である大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターの外来初療室で行われている治療を、より早期に救急現場から実践すること、そして、重症傷病者の生命予後や機能予後の改善を目指すこと、これが大阪府ドクターヘリの救急現場活動の目標です。


●高度な医療を目的とした医療機関間の重症患者の搬送
 大阪府には14箇所の救命救急センターに加えて、6つの大学病院、国立循環器病研究センター、大阪府立母子保健総合医療センターなど各専門分野の高次医療機関が存在しています。これまでも重症患者に対して高度な医療を提供するためにこれらの高次医療機関に向けての病院間の搬送が行われてきました。しかし、従来の救急車を中心とした搬送では、たとえ狭い大阪府内であっても時間を要し、搬送時間が長くなればそれだけ搬送中の危険性も高くなります。このような搬送にドクターヘリを活用することにより、救命救急を専門とする医師の管理下に重症患者の医学的安全性を担保しながら迅速に搬送することが可能となる医療体制を確立しました。


●複数傷病者発生事故や災害時の活用
 災害時に大阪府ドクターヘリを活用することは、運航準備段階からの大きな目標でした。これは、1995年の阪神淡路大震災の経験に基づいています。すなわち、震災時、被災地内で発生した多くの重症傷病者を被災地外の医療機関へ搬送する手段としてヘリコプターを活用することができず、多数の重症傷病者が十分な救命医療を受けることができないまま亡くなりました。この苦い経験から、近畿の救急医療関係者には、災害時に医療従事者の判断と指揮のもとで運用が可能なヘリコプターシステムを構築することの必要性が認識されました。大阪府ドクターヘリは、その運航要領にも災害時の運用を明記されており、その大きな特徴となっています。東日本大震災では、大阪府ドクターヘリも被災地に出動し、病院避難などの活動に携わりました。



大阪府ドクターヘリのこれから
 近畿地方には、大阪府以外にも和歌山県と兵庫県にドクターヘリが導入されています。また、まもなく徳島県ドクターヘリも運航が開始されます。各府県のドクターヘリの基地病院を中心にそれぞれの活動範囲を半径75km と想定しますと、ほぼ、近畿一円を4機のドクターヘリでカバーすることが可能となります。ドクターヘリにとって75kmの距離は、20分で到達することが可能な距離であり、従来の救急車を中心とした地域医療体制の概念を大きく変えるインパクトを持っています。現在、近畿全体での平時および災害時のドクターヘリの効率的な運用が検討されています。



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